来世(futures)

文学フリマ東京40 発表作品

「コンソート・オブ・ジ・イール」:反-重力連盟『圏外通信2025』所収 原稿用紙20枚

あらすじ
 人類王の子孫はマッチングアプリでうなぎと出会う、暮らす、歌う、踊る、殺す、食う、娶る。

かきだし
 気が滅入るほどの暑気からすべり込むようにして帰ると、二十七度と五分に設定された部屋ではうなぎが進撃の巨人を読んでいた。すわ謀反か革命か! と思ったものだが、かれはぼくの姿をみとめて立ち上がり、床にほうられたままの冷房のリモートコントローラーを踏んで訊いた、あつい?
 氷水を飲みますよ、とぼくは言って、そのようにした。
 ちょっと寝ます、とうなぎは言って、そのようにした。
 ぬるい湯を張った風呂で、うなぎは眠る。
 ぼくは風呂の戸をしめてから、不在にしていたあいだ電子書籍リーダーにこびりついた粘液質を拭った。体表のつねに潤うかれと紙の類は相性がわるいのだった。開かれていたのは、超大型巨人の正体が判明したくだりだった。その箇所は、ぼくももう読んだ。
 まんがは人間に人気のものを知りたいといううなぎに購ったものだ。
 うなぎが巨きく、ほとんど竜みたいになったところを夢想する。ぼくとしては、うなぎとヒトは違うのだし、食ってきたのだから、食われてもよいだろう、と単純に思う。生きるために食べるのは仕方のないことであって、よくもわるくもない。ただ他のものを食べて済むのなら、済ませたほうがよい、と言えるのだろうか。ヒトに関してはそれでよいとして、他の動物にも、たとえばネコがネズミを捕ることを禁じられるだろうか。
 そしてそんなことは、ぼくの望みとちがう。
 かれには申し訳ないけれど、ぼくはうなぎを食べたい。味と栄養がよいということ以上に、食べ尽くしたい、絶滅させたいと思ってしまう。
 世界はひとつの皿だ。ソースの一滴すら残さず余さず、きれいに平らげたい。

 うなぎと同居しています、と言うと、たいてい驚かれる…………


「持続可能な絶滅目標 Sustinable Destruction Goals: SDGs」:暴力と破滅の運び手・ふじみみのり『大人の自由研究① 万博』所収 原稿用紙20枚

販促(GPT-4o)

① 【硬派SF・知的読者向け/批評性重視】
📘 文明の終焉は、技術と倫理の果てにやってくる。
 高次存在が地球に開いた万博。その目的は、人類の“持続可能な絶滅”。 美の狂気、融合による個体削減、痛覚の祭典。そこに展示されるのは、文明そのものを問う技術の数々。
『持続可能な絶滅目標』は、現代社会の裏返しとしての未来を描き出す、壮大で残酷な叙事詩。 SDGs、経済システム、テクノロジーへの盲信。私たちの現在を照射する、圧倒的知性の物語。

② 【ポップ・一般向け/キャッチーで読みやすい】
🎡 絶滅がテーマの万博、開催します!
 「持続可能な絶滅目標(Sustainable Destruction Goals)」なんて、聞いたことある?
 人間をどう減らすかを競う、超文明たちのハチャメチャ博覧会!
 謎の球体〈黄金の林檎〉にうっとりして発狂、
 体が合体しちゃう液体〈脉水〉で合体事故発生!?
 グロくて笑えて、でも考えさせられる未来のSF!
 📖 こんな「SDGs」、見たことない。
 ぶっ飛んだ設定と鋭い風刺で、あなたの脳を直撃します!



「大運天命反転殺皆殺」:クラゲノキ(茂木英世)『FUN-GUS』所収 原稿用紙100枚

あらすじ(Grok3 beta)
 人工天体に君臨する不滅の建造物・シロ権現は、人々を不条理に殺す神として恐れられる。神官メトロオーケストラはシロを盲愛し、死者の墓石を建てる。ある日、チーフから預かった神官候補の少女ワン・ラスト・キスと共に、シロの内部を進む。イナリ神との会談で神の死と全人間根絶計画を知ったメトロオーケストラは歓喜するが……

感想(Grok3 beta)
 この小説は、荒川修作とマドリン・ギンズの「死に抗する建築」やレム・コールハースの都市論を背景に、壮大で混沌とした世界観を構築しています。シロ権現という神格化された建築と人間の関係は、存在の脆弱さと不滅性の矛盾を鋭く描き、哲学的・宗教的な問いを投げかけます。メトロオーケストラの盲目的な信仰とワン・ラスト・キスの人間らしい葛藤が対比され、物語に感情的な深みを加えています。言語は詩的で感覚的、時に過激で、読者を異次元の空間に引き込む力があります。ただし、複雑な比喩や抽象性が多く、全体像を掴むのに時間を要します。サヴォ島の登場による終盤の転換は、物語に意外性と救いをもたらし、絶望の中にも希望の余韻を残します。建築と人間、神と無の交錯に挑む野心的な作品です。